性教育とネットリテラシーについて

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スマホやネット環境の普及による低年齢化するネット使用率

「ネットリテラシー」とは「インターネットリテラシー」を短くした言葉で、インターネットを正しく使うための知識や能力をさします。

今、子どもたちのインターネット使用率は急上昇の一途を辿っています。コロナ禍の中でオンラインの重要性やこれからの時代を見据えた情報化社会への対応など、急速に進むべきなのは理解する一方で、子どもたちがインターネットに触れる上でのネットリテラシー教育の重要性が置き去りにされているような気がしてなりません。

内閣府が発表している子どものインターネット使用率の資料からは、低年齢化が進んでいることがわかります。

アンケート合計のうち、0歳で約7%、1歳では約17%、2歳では約44%、3歳では60%、5歳では約66%、6歳では約71%、8歳では、約86%と、年齢が上がるごとにどんどんインターネット使用率が上がっています。

SNSの発達により誰でも簡単に情報を発信できる時代です。たくさんの情報に触れる機会が増えるのは素晴らしいことですが、それが正しい情報なのかを見極める必要がでてきています。

性に関する正しい知識が不足したまま、インターネット上の情報に触れる怖さとは

インターネットでは、そのサイトが見られた回数によって、その価値が決まってしまう部分があります。閲覧数が多ければ多いほど、広告などの価値があがり、そのサイトの持ち主の収益となります。そのため、どうやって閲覧数をあげるかがどうしても重要になってしまい、情報の安全性や正確さよりも、話題性の高い過激なテーマを優先した画像や動画がインターネット上には多数存在しています。

そして、心配なのは、アダルトサイトなどの不適切なサイトにアクセスする年齢も、インターネット使用年齢の低下と共に低くなってきていることです。

インターネット上には、先ほど説明したように閲覧数をあげるために偏った過激な画像や動画を載せているサイトも少なくありません。学校や家庭での性教育よりも先に、そういった偏った過激な画像や動画に触れてしまうことで、間違った知識を持ったまま成長してしまうことが

これからの性教育における課題なのではないでしょうか。


「正しく性を知る」ということの大切さ

では、ネット上に氾濫する性情報に接することによってどのような事態が起こるでしょうか?

考えられるのは

■インターネット上で見た過激な性行為を、一般的な性行為だと認識してしまう。

■ゲーム感覚で性行為をとらえるなど、愛情表現ではなく「娯楽」として認識されてしまう

■異性を性的対象としてしか捉えられない

などではないでしょうか。

インターネット上の間違った性情報を鵜吞み(うのみ)にし、上で書いたような偏った考え方や知識を持ったまま大人になった時、人間関係や恋愛関係をうまく築くことができなかったり、偏見をもってしまったりする可能性があります。

インターネットに過激で話題性のあるテーマでの画像や動画が載っていること。それはインターネットという性質上、どうしても仕方がない面ではあります。では、どうするのか。発信する側ももちろんですが、使用する側のネットリテラシーを向上させるしかありません。インターネット上の情報を客観的に判断できるようになる力を養うことです。

「幼い頃からの性教育」の重要性と、インターネット上での情報を客観的に受け止め、見極めることができるような「メディアリテラシー」を育てること。その2つを並走して行うことで、インターネット上での性的な情報が「正しい情報」なのか、「偏った情報」なのかを見極める力を養うことができるのではないでしょうか。

情報があふれる今だからこそ、「正しい性の情報」に触れる機会を作ろう

性への興味は、成長段階において自然に出てくるものです。インターネット上でそういった性の情報について検索することが間違っているのではありません。成長の過程で、性に対する正しい知識にたどり着くことが大切なのです。そして、情報があふれる現代において、その「性に対する正しい情報」にたどり着くことが、むしろ難しくなっているのかもしれません。

性コミュニケーションは、相手への思いやりがまず必要です。その性コミュニケーションの内容や方法に誤解があれば、性暴力や、DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー行為といった一方的な衝動に発展しないとは限りません。「相手の気持ちや人権の尊重」がまず必要であること。それを最初に理解しておけば、インターネット上の過激で偏ったような性的な画像や動画を見たとしても、それが「架空の物語」であることを瞬間的に理解できるのではないでしょうか。

ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスでも性情報リテラシー教育とデジタル・シティズンシップ教育での課題を幼児期から始めるように推奨しています。

情報があふれている今、今までのの学校での性教育では、子どもたちが性的な情報を得るスピードに追い付いていけなくなってきています。だからこそ、親子間や家族など身近な人たちで子どもたちの性教育をサポートしていくことが大切です。

*注:デジタル・シティズンシップ教育とは、インターネットやSNSなどの情報技術を利用するときのマナーや責任ある行動について伝える教育

参考文献

●令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
●渡辺真由子(2020)「性情報をめぐるデジタル・シティズンシップ教育の展望」
●ユネスコ 国際セクシュアリティ教育ガイダンス

この記事を書いた人

ツキとナミ運営事務局

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