日本でも少しずつではありますが「多様性を認めよう」という考え方も出てきています。LGBTQの方、外国籍の方、いろいろな価値観の人がいる、ということが認識され始めています。
そうとはいえ、日本では「こうあるべき」という固定観念やバイアスも強く、その影響で、非常に生きづらい思いをしていた方がいらっしゃることも事実です。最近は日本でも少しずつ「子どもの個性を認めましょう」という考えも出てきており、以前のみんな同じという考えから、変化しつつあります。
また、日本の性教育は世界各国に比べて、遅れていることが指摘されています。今の時代、小学校高学年や中学生になると、インターネットを通じて、とても簡単に世界へとアクセスすることができるようになっています。昔に比べて、簡単に世界の人々と繋がれる時代に突入しているのです。
そんな中、世界基準での性教育を日本にも広めるため、少しずつですが、日本でも性教育の大切さが見直されてきています。しかし、学校で実際に新しい性教育(包括的性教育)が認められ、実施されるまでには少し時間がかかるため、家庭での新しい性教育の大切さが重要視されています。
今回は、「新しい時代の性教育により、親世代にとって得られるものは何か」という視点で、包括的性教育を見ていきたいと思います。
「新しい性教育」の内容は、非常に多岐に渡っています
現在、子育てをされている方の中には、「性教育」といえば
- 生理のこと
- 避妊のこと
などの認識が中心ではないでしょうか?
これから求められてくる包括的性教育は
- 人間関係
- 人権や文化に関すること
- ジェンダーの理解
- 健康で幸せな生活を送るためのスキル
- 人間の体について
など、多岐に渡っており、親世代が学校で習った性教育は、この中のごく一部に過ぎない内容となっています。新しい性教育を学ぶこと事により、「本当に相手のことを尊重するとはどういうことか」「多様性とは何か」ということに関しても、親も学ぶことができるものとなっています。
さらに、新しい性教育を勉強することで
- もっと自分自身を大切にしていいのだ
- 性的な役割にとらわれず、色々な家族の形があってもいいのだ
などと、リベラル(自由な)な発想を得ることが出来たら、少しずつですが生きやすい世界が広がっていくのでは、と思います。
間違った性行為に関する知識を直していく
日本の性教育は世界と比べて遅れており、親世代の方のなかに「性行為に関して、学校で何も習っていないので、友達からの話、もしくはアダルトビデオを参考にしてきた」という方もいらっしゃいます。
実は日本でしっかりとした性教育が必要という背景の1つに、日本がアダルトビデオ大国であることが挙げられており、そのせいで間違った性行為に対するイメージが広がってしまっている、ということがあります。
アダルトビデオは、基本的には男性の刺激を煽るための非常に暴力的な描写となっている作品が多く、その結果間違った性行為が広まってしまい、男性にとっても女性にとっても良くない状態が生まれてしまっています。
また、歴史的に男性優位の背景がある日本では、「女性は男性からの誘いを断ってはいけない」と考えてしまっている方も多く、一方で、男性の中には「付き合っているので、性行為が有るのは当然だ」と考えてしまっている方もいらっしゃるようです。
新しい性教育の中には、性行為の前には必ず相手の同意を取ることといった内容も含まれています。また、アイドルや女優さんと自分の身体を比べてしまい、自分に自信が持てない思春期の少女や女性もいます。
新しい性教育の内容には
- ありのままの自分を認める
- 自分の気持ちを大切にする
- 相手の意志を尊重する
などの「人として生きていく上で大切なこと」がたくさんありますので、お子さまと一緒に学ぶことにより
「私はもっと私のことを大切にして良いのだな」
「一人一人違いがあってよいのだな」
「嫌なことは嫌だと言って良いのだな」
ということを、少しずつ理解して欲しく思います。
以上、簡単になりましたが、新しい性教育を学ぶことにより、親世代にとっても得られるものを簡単にご紹介させていただきました。
実際にはここに書いたものは本当にごく一部であり、ユネスコの作った国際セクシュアリティ教育ガイダンスをご覧いただくと、非常に幅広い「人間として生きていく上で大切なこと」が示されていることが分かります。
お子さまと一緒に、ご両親、そして可能であれば祖父母の皆さまも新しい包括的性教育を活用し、誰にとっても生きやすい世界を作っていっていただけたら、と思います。
どうしても日本では古くから「性=いやらしいこと、きたないこと、良くないこと」などのマイナスなイメージが付いてしまっているので、抵抗がある方もいらっしゃると思います。ですが、世界基準の性教育を学ぶと「こんな考え方があるのだ」と思われる方も多いようです。
ぜひとも一度固定観念を外し、新時代の性教育を少し覗いてみて欲しく思います。そして、しっかりとお子さんを守っていきましょう。