2021年 05月10日

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生理の貧困とは?開発途上国の生理事情って?

皆さんは、世界の女性がどのように月経(以下、生理とします)に対処しているか見聞きしたことはあるでしょうか?国が違えば、生理のときの対処方法も様々です。

現在、日本では生理用ナプキンをはじめ、タンポンや月経カップ、ナプキンがいらないショーツなど、生理のときの経血を処理するための様々なグッズが出ています。今回は、世界の中でもアフリカのコートジボワールの生理事情についてお話します。

アフリカでは生理用品が高い

西アフリカのコートジボワールは、サハラ砂漠の南に位置しています。西アフリカの中でも比較的開発が進んだ国ですが、都市部から離れるとヤシやパイナップルのプランテーションが広がる地域がほとんどです。農村部では物資が限られており、生理用品やトイレットペーパーなどは高価なものの一つとなっています。

首都や地方都市の一部では、外国製(特にヨーロッパ)の生理用品を買うことができます。しかし、都市部から車で30分〜1時間も行くと農村部となります。スーパーマーケットはなく、生鮮市場や小さな小売店が生活用品を売っています。その中でも特に色々と生活雑貨を売っている小売店(現地ではブティックと呼ばれています)に生理用品が1種類売っている程度なのです。コットン100%の分厚いナプキンで、燃やすと燃え尽きます。

現在、日本でもコットン100%のナプキンが売り出されていますが、それと同じような厚さ・形です。約20年前で10枚入って100円ほどの値段でした。日本でもよく見かけるブランドのものは、都市部のスーパーマーケットで手に入りますがもっと高価です。

農村部の女性は布を使用

コートジボワールに住む女性たちは、生理のときにどのように処理をしているのでしょうか。コートジボワールをはじめ西アフリカの女性たちは、パーニュというカラフルな色で絵が描かれた布の服を着ています。その服がボロボロになって着られなくなったら、適当な大きさに切って折りたたんで、ナプキンの代わりにしたり赤ちゃんのおむつに使ったりします。

ミシンは一般家庭に普及していないため、縫製はされておらず、個人に合うように折りたたんで使用しています。布ナプキンとしても販売はされていません。このため、コートジボワールの自家製布ナプキンや赤ちゃんのおむつはカラフルなのです。洋服として使用した後の布なので、程よく柔らかくなっていてゴワゴワした感じが少なくなっている印象です。しかし、その分漏れやすいといえるでしょう。

洗って何度も使用する

生理に使用した布は、もちろん使い捨てではなく、洗って何度も使用します。コートジボワールは熱帯雨林気候で、湿度が非常に高く雨も降ります。水が不足して年中困っているわけではありませんが、農村部では各家庭に水道がなく、井戸を使用していることも多いです。

農村部に住む人々は洗濯機がないため、たらいに洗濯物を入れて服を手で洗います。生理のときに使用した布を洗っているのを見かけたことはありませんが、目立たないように洗っているものと思われます。

このように、コートジボワールの農村部では、市販されているナプキンを使用している女性は非常に少ないと言えるでしょう。近隣の国も同じような形で対処していると考えられます。

学校を休むこともある

生理の出血がもれないようなナプキンを使用できない場合は、学校に行ったり外出したりすることを控えることもあるようです。月経血が漏れて制服が汚れてしまうなら、学校を休みたくなることも理解できます。そのような国は他にもたくさんあることでしょう。

まとめ

このように、開発途上国の中でもアフリカ地域の都市部以外では、生理用品が入手しにくいという事情があります。生理用品自体があまり売られていなかったり、高価だったりという理由です。生理は自然なものですが、その症状によって女性の生活に悪影響を与えることもあります。生理は毎月あるため、安全に快適に過ごせる生理グッズがアフリカを含む多くの発展途上国にも早く普及し、世界中の女性の生活が向上することを願います。

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