前回の記事では、ジェンダー平等を家庭で伝える大切さを取り上げましたが、自尊感情が低くなると色々なことがうまくいかなくなる、というお話がありました(子どもの自尊感情を高める効果的な褒め方って?)。自尊感情とはそもそも、どのような感情なのでしょうか?また、子どもの自尊感情を普段の生活の中で育む伸ばすにはどうすればいいのでしょうか?
家庭教育研究家で家庭教育協会「子育ち親育ち」代表の田宮由美先生に、子どもの効果的な褒め方についてポイントをうかがいました。
子どもが頑張っている姿を認める
自尊感情とは、自分で自分を積極的に認め、自らの価値や存在意義を肯定できるような感情です。簡単に言うと、自分自身のことを好きだと思う感情です。
それを育むためには、まず周りの大人が、子どもの行動を認めてあげることが大切です。勉強でもスポーツでも遊びだって、どんなことでもいいです。子どもが頑張っている姿を認めてあげましょう。他者に認められることで、自分の存在を認めることができてくるんですよ。
認めてもらうことは、確かに大人でも嬉しいものですものね。それが成長過程にある子どもなら、なおさらだろうと思います!
「結果」だけでなく「過程」を褒める
ですが、ひとつ気を付けてほしいことがあります。認めることや、褒めることはとても大切ですが、「結果だけ」を褒めることはやめましょう。
例えば、テストで良い点数を取ったことを褒めてはいけないんでしょうか?点数のことだけではなく、その点数を取るために、きっと授業をちゃんと集中して受けたり、自主的に勉強したりといった努力があったはずです。その努力の「過程」を褒めましょう。
もし、「過程」ではなく「結果」ばかりを褒めてしまうと、褒められるために、どのような手段を使っても、良い結果を得ようと思ってしまうかもしれません。
悪い点や失敗は、叱るのではなく寄り添う
もし、良くない点をとってしまった時は、親ももちろんですが、子どもの方が内心ではもっとショックを受けているでしょう。なので、そこで叱るのではなく、辛い気持ち、悔しい気持ちに寄り添うことが重要です。
そうすることで、次は頑張ってみようという気持ちが自分から湧いてきます。そうでないと、「叱られるから、頑張る」になり、学習を身につけるためでなく、叱責から逃れるために勉強をしなければ…になり真の学力は伸びないでしょう。
褒める時、他の人と比べない
そして、褒める時に、よくやってしまいがちな褒め方で気をつけてほしいことがあります。それは、他の人と比べることです。人はそれぞれに個性があり、それぞれの良さがあるものです。それは比べられるものではありませんし、比べるべきものでもありません。
もし、どうしても比べるなら、その子の過去と比べてあげましょう。昨日できなかったことが、今日はできた。そういった比べ方なら、子ども自身も成長を感じられるでしょう。
そして、そのがんばりを見逃さず、しっかりと褒めてあげることで自尊感情が育つのです。しっかりと自尊感情を育てることで、様々なことに積極的に取り組めるように、子どもの未来に向けた声掛けをしていきましょう。
努力の過程を見守ってあげることが大切
いかがでしたか? テストで良い点を取ったら褒めて、あまり良くない点だとグチグチと言ってしまってませんか? 田宮先生のお話から、悪い点をとって叱るときよりも、良い点のときにどうやって褒めるかや、悪い点の時にどう寄りそうかが、むしろ子どもの自尊感情を育む時ということが伝わりました。お友達や兄弟と比べるのではなく、努力の過程を見守ってあげることが大切なんですね。