「望まない妊娠」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。おそらく避妊に失敗した、性暴力を受けたなど様々な状況が浮かぶでしょう。
日本でも望まない妊娠をする女性がいますが、世界に目を向けるとその原因となることが日本とは少し違うことに気がつきます。今回は、世界においてなぜ望まない妊娠が起こるか、コロナ渦での状況、望まない妊娠が女性に与える影響についてお話します。
望まない妊娠の現状
世界の医療団によると「世界における望まない妊娠の数は年間8,000万件、危険な妊娠中絶は2,200万件にも及ぶといわれています。妊娠中絶が処罰の対象であったり、非難を浴びたりする国がたくさんあります。そのため、女性たちは秘密裏に危険な中絶処置を受けるしかありません。このような危険な中絶処置が原因の合併症による死亡は、年間5万人にも及ぶと推定されています」と記載されています。
望まない妊娠はなぜ起こるか
望まない妊娠はどのようなことがきっかけで起こるかを考えてみましょう。まずは、幼いときに結婚を強制される児童婚が挙げられます。児童婚は、多くは結婚相手から家族が経済的援助を受けるために行われ、子どもは暴力や監禁に近い状態で暮らしていることがあります。未熟な子どもでも当然、妊娠する可能性はあります。
また、性犯罪によって妊娠するケースもあります。中絶を処罰の対象としている国では、安全な中絶処置が受けられないため、危険な処置を受ける人もいます。さらには適切な避妊手段が利用できないことも原因の一つです。避妊具が手に入らない、買えない、相手に使ってもらえないことがあります。コンドームなどは、男性が使いたがらない場合もあります。
女性が避妊のためのピルを飲むことを許さないパートナーがいます。男性が子どもがほしいと思っていても、女性がほしくないと思っている場合は、望まない妊娠となってしまいます。他に、避妊手段や妊娠がどのように成立するかについての知識不足も原因となります。
コロナ渦の望まない妊娠が増加
新型コロナウイルス感染症の流行の影響で学校が休校となり、友人や支援を行っているネットワークから孤立します。子どもへの性暴力が増えたり、コロナ渦で仕事を失った親が嫁ぎ先からの経済的な見返りを求めるための児童婚がより多くなったりします。その影響で望まない妊娠が増加するのです。
また、新型コロナウイルス感染症の対応で中絶を提供している施設が縮小・閉鎖され、処置を受けられない女性が増えています。例えばインドネシア政府は、2020年に望まない妊娠が40万人にのぼると発表しました。物資の輸送が滞ることから避妊具の供給も不足していると考えられています。常々から問題になっている望まない妊娠の増加がより深刻になっています。
望まない妊娠が女性に与える影響
望まない妊娠をした女性は、そのまま妊娠を継続して出産するか中絶するかのどちらかの選択しかありません。開発途上国では、安全な中絶の処置を受けることが難しい国がたくさんあります。専門知識を持った医師が行う処置ではない場合、非常に危険であり女性は命を落とすこともあります。
また出産を選んだ場合、希望しない子どもの妊娠を継続することや子ども世話は非常に困難でしょう。女性が学生だった場合は、学校をやめなければならず、教育を受ける機会が絶たれてしまいます。一度離れた学校へ戻る確率は低いとされており、そのため、就きたいと思っていた仕事をすることができず、将来の夢を諦めなければならないということも起こります。
まとめ
望まない妊娠は、女性も子どもも幸せとは言い難いものです。望まない妊娠をなくすための取り組みを進めるためにユニセフやその国の政府は、様々なプログラムを行っています。私達はまずその取り組みを知ることから始めてはいかがでしょうか。