2021年 09月30日

運営事務局

世界で望まない妊娠はどのくらい起きている?

「望まない妊娠」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。おそらく避妊に失敗した、性暴力を受けたなど様々な状況が浮かぶでしょう。

日本でも望まない妊娠をする女性がいますが、世界に目を向けるとその原因となることが日本とは少し違うことに気がつきます。今回は、世界においてなぜ望まない妊娠が起こるか、コロナ渦での状況、望まない妊娠が女性に与える影響についてお話します。

望まない妊娠の現状

世界の医療団によると「世界における望まない妊娠の数は年間8,000万件、危険な妊娠中絶は2,200万件にも及ぶといわれています。妊娠中絶が処罰の対象であったり、非難を浴びたりする国がたくさんあります。そのため、女性たちは秘密裏に危険な中絶処置を受けるしかありません。このような危険な中絶処置が原因の合併症による死亡は、年間5万人にも及ぶと推定されています」と記載されています。

望まない妊娠はなぜ起こるか

望まない妊娠はどのようなことがきっかけで起こるかを考えてみましょう。まずは、幼いときに結婚を強制される児童婚が挙げられます。児童婚は、多くは結婚相手から家族が経済的援助を受けるために行われ、子どもは暴力や監禁に近い状態で暮らしていることがあります。未熟な子どもでも当然、妊娠する可能性はあります。

また、性犯罪によって妊娠するケースもあります。中絶を処罰の対象としている国では、安全な中絶処置が受けられないため、危険な処置を受ける人もいます。さらには適切な避妊手段が利用できないことも原因の一つです。避妊具が手に入らない、買えない、相手に使ってもらえないことがあります。コンドームなどは、男性が使いたがらない場合もあります。

女性が避妊のためのピルを飲むことを許さないパートナーがいます。男性が子どもがほしいと思っていても、女性がほしくないと思っている場合は、望まない妊娠となってしまいます。他に、避妊手段や妊娠がどのように成立するかについての知識不足も原因となります。

コロナ渦の望まない妊娠が増加

新型コロナウイルス感染症の流行の影響で学校が休校となり、友人や支援を行っているネットワークから孤立します。子どもへの性暴力が増えたり、コロナ渦で仕事を失った親が嫁ぎ先からの経済的な見返りを求めるための児童婚がより多くなったりします。その影響で望まない妊娠が増加するのです。

また、新型コロナウイルス感染症の対応で中絶を提供している施設が縮小・閉鎖され、処置を受けられない女性が増えています。例えばインドネシア政府は、2020年に望まない妊娠が40万人にのぼると発表しました。物資の輸送が滞ることから避妊具の供給も不足していると考えられています。常々から問題になっている望まない妊娠の増加がより深刻になっています。

望まない妊娠が女性に与える影響

望まない妊娠をした女性は、そのまま妊娠を継続して出産するか中絶するかのどちらかの選択しかありません。開発途上国では、安全な中絶の処置を受けることが難しい国がたくさんあります。専門知識を持った医師が行う処置ではない場合、非常に危険であり女性は命を落とすこともあります。

また出産を選んだ場合、希望しない子どもの妊娠を継続することや子ども世話は非常に困難でしょう。女性が学生だった場合は、学校をやめなければならず、教育を受ける機会が絶たれてしまいます。一度離れた学校へ戻る確率は低いとされており、そのため、就きたいと思っていた仕事をすることができず、将来の夢を諦めなければならないということも起こります。

まとめ

望まない妊娠は、女性も子どもも幸せとは言い難いものです。望まない妊娠をなくすための取り組みを進めるためにユニセフやその国の政府は、様々なプログラムを行っています。私達はまずその取り組みを知ることから始めてはいかがでしょうか。

ハッシュタグ

この記事を書いた人

ツキとナミ運営事務局

この作者の記事一覧
お気に入り 1

同じカテゴリー の他の記事

  1. もしかして夏バテ?その対策5つと受診のポイント

    夏に起こりがちな体調不良といえば「夏バテ」。暑くてちょっとバテただけ……と簡単に考えがちですが、軽くみたせいで症状の悪化を招いてしまったり、実は別の病気だということに気づかなかったりすることもあります。夏バテの原因や主な症状、食事や衣服の工夫でできる夏バテ対策、夏バテに関わる病気と受診の目安などを、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 夏バテの原因や主な症状 ーーまず、夏バテの原因や主な症状を教えてください。 ”夏バテ”という正式な病気があるわけではないんですけど、夏の暑さによって引き起こされる体調不良を全部ひっくるめて夏バテと呼ぶことが多いです。主な原因は脱水や疲れです。冷房と外気温との落差で体調が悪くなったり、食欲が低下したりというのも夏バテとしてよくあることです。 「もしかして夏バテかも?」と思ったらできること ーー夏バテを予防する方法や、「夏バテかも?」と思った時の対策はありますか?

    もっと読む
    2023年 08月04日
    ##悩み
  2. ムレやニオイ、気になる夏のデリケートゾーン対策

    気温や湿度が高くなる夏は、デリケートゾーンの蒸れが気になる季節です。デリケートゾーンの蒸れは、どんなトラブルにつながるのでしょうか?蒸れの原因やデリケートゾーンを快適に保つ方法、肌荒れした場合の対処法・受診目安について、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 デリケートゾーンの蒸れの原因とトラブル ーーまず、デリケートゾーンの蒸れにはどういった原因がありますか? デリケートゾーンが蒸れる原因はいくつかあります。まず、下着の通気性ですね。ナイロン性になっていたり、ズボンもタイトだと、蒸れやすかったりします。生理中だったらナプキン、生理の前後だとおりものシートが蒸れる原因ですね。長時間座ってたりするのも原因になります。 ーーデリケートゾーンの蒸れから、どういうトラブルが発生しがちでしょうか。 元々、デリケートゾーンは普通の肌よりも弱いので、蒸れたりすると痒みが出やすかったり、おりものが多い時期だとより匂いが気になったりしますね。また、蒸れからかぶれや肌荒れにつながることもよくあります。

    もっと読む
    2023年 07月21日
    #セルフケア
  3. つらい冷え性に!今すぐ始めたい温活ケア【後編】

    近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ 温活ケア① 運動で下半身の筋力をUP ーー前回の記事では、冷えの原因や漢方などの対処法を教えていただきましたが、その他普段の生活の中でできる温活ケアとして何から始めるのがいいでしょうか? まずは運動です。

    もっと読む
    2023年 06月09日
    #セルフケア
  4. つらい冷え性に!今すぐ始めたい温活ケア【前編】

    近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ 冷えは万病のもと ーー冷えの原因を教えてください 冷えにつながる様々な要因がありますが、冷えは男性よりも女性のほうが感じやすく、その主な原因の一つは筋肉量です。男女で筋肉量が異なるため、代謝も異なり、発生する体温も異なりま�

    もっと読む
    2023年 05月26日
    #セルフケア
  5. つらいPMS、どうする?自分でできる改善法

    生理前に体がむくんだりイライラするなど、心身の不調を感じる方は多いのではないでしょうか。そういった症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれています。今回はPMSとその原因や症状、対処法や治療について、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 PMSの原因とは ーーまず、そもそもPMSとは何ですか? 月経前症候群(Premenstrual Syndrome : PMS)は、月経(生理)の起こる3〜10日前に体や心に不調が出て、生理が始まるとそれが自然に治るというのが、PMSの特徴です。ただ、生理の前に何らかの症状が起こるということは、結構多くの女性が経験しています。その症状で生活に支障があったり、仕事や人間関係に悪影響が出て本人が困っているというのが、1つのPMSの目安になると思います。 ーーPMSが起こる原因は何でしょうか? PMSの原因には、いろんな要素が混じっていると今のところは考えられています。なので、「原因はまだはっきりと分かっていません」というのが答えなんです。ただ、よく言われている原因の1つは「女性ホルモンの変化」です。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2�

    もっと読む
    2023年 04月27日
    #PMS
  6. 子どもにプライベートゾーンをどう教える?

    近年、小さなお子さんを持つ保護者が子どもへの性教育について話題にする際、「プライベートゾーン」という言葉が登場することが増えました。プライベートゾーンという言葉をどう理解して、どう子どもに伝えるか。子どもへの性教育について保護者はどんなことを悩んでいるか。子どもと性教育について学ぶためにどんな絵本がオススメか。今回はそんなお話を助産師のやまがたてるえさんに聞きました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ プライべートゾーンとは? ーー近年、幼児や小学校低学年のお子さんへの性教育の場面などで「プライベートゾーン」という言葉が使われることが増えたように思います。この言葉の意味を教えてください

    もっと読む
    2023年 04月22日
    #コミュニケーション
同じカテゴリー の記事をもっと読む
TOP