「児童労働」と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。子どもが働くとは、どのようなことで、どのような影響をもたらすのでしょうか。
世界では、児童労働が問題となっています。大人のように働く子どもを取り巻く現状は非常に厳しいものです。今回は、児童労働について紹介します。
自動労働の現状
2021年にユニセフと国際労働機関が発表したデータによると、世界には児童労働に従事している子どもの数が、1億6000万人にのぼることが発表されました。過去4年間で840万人の増加です。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、数百万人が児童労働に従事させられるリスクがあると指摘されています。
報告では、5歳〜11歳の子どもの児童労働が増加しているとされています。健康面や安全、精神的に負担が高く子供に悪影響な可能性が高い危険な労働に就いている5歳〜17歳の子どもは、2016年の650万人から増加して、790万人となっているのです。子どもたちが就いている労働の内容は次のとおりです。
農業 | 70% | 1億1200万人 |
サービス | 20% | 3140万人 |
工業 | 10% | 1650万人 |
2. 児童労働による悪影響
児童労働は、健康面や教育面など様々なリスクがあります。
健康
子どもの労働は、子どもの健全な育ちを阻害します。基本的な身体や心の健康は、本来子どもがのびのびできる環境で育まれるものです。それが労働という環境下では、本来の身体や心の安定が図られず、成長・発達や健康が守られないというリスクがあります。
教育
労働に費やす時間が多いほど受けるべき教育の時間が減ります。初等教育を受けていない子どもは読み書きが不十分で、そのまま大人になった場合、貧困や病気など負の連鎖の中に取り込まれるリスクがあります。また、児童労働に従事している5歳〜11歳の子どもの約28%、12歳〜14歳の子どもの35%が学校に通っていないというデータが出されています。
道徳
児童労働に従事することによって、利益や効率化が優先され道徳的な考え方を身につけることが難しくなります。道徳的な考え方は、守られている安全な環境で安心して生活することで身についていくのではないでしょうか。
3. 子どもの権利
国連で子どもの権利条約が1989年に採択され、日本は1994年に批准しています。子どもの権利には大きく分けて次の4つが挙げられています。
①生きる権利
生命が守られ、予防できる病気を予防し、病気になったら治療が受けられるという人間らしく「生きる権利」を持っています。これは、親や保護者が守るべき権利です。
②育つ権利
自分の名前や国籍を持ち、教育を受けたり遊んだりできるという「育つ権利」を持っています。自由に自分で考え、信じることが守られて自分らしく育つことができる権利です。
③守られる権利
虐待や放任、搾取、有害な労働から「守られる権利」を持っています。障がいや少数民族を理由に迫害されることなく、戦争や紛争からも保護され、子どもの身体や心が犠牲にならないよう守られる権利です。
④参加する権利
自由に意見を言ったり、グループを作ったりして自由な子どもの活動が守られ「参加する権利」を持っています。子どもの意見が尊重される権利です。
まとめ
世界的に子どもの権利が守られることが重要であると認識されているにも関わらず、児童労働が減らないのは、貧困や新型コロナウイルス感染症、紛争など様々な要因があると考えられています。日本も例外ではなく、ガールズバーや売春などでの児童労働が報告されています。
世界では、児童労働をなくすための多くの取り組みがJICA(国際協力機構)やNGO(非政府組織)で行われています。その取り組みを知り、日本国内や世界の児童労働をなくすために、自分たちには何ができるのかを考えることから始めてみてはいかがでしょうか。