2021年 06月30日

運営事務局

15歳で親が決めた結婚…世界の児童婚の現状って?

今回は児童婚についてお話します。ユニセフの定義では、児童婚とは18歳未満の結婚のことをさします。

日本では女の子は16歳以上で結婚できるとされていますが、児童婚は、もっと若い年齢で行われていることが多く、少女への悪影響が叫ばれています。それでは、児童婚について詳しくお話しましょう。

1. 児童婚の現状

世界では毎日33,000件、総数では世界全体で7億5000万人の女性と少女が18歳未満で結婚しています。そのうち、3人に1人以上(2億5000万人)が15歳未満で結婚しているというデータがあります。

42%がアジア、26%が東アジアと太平洋地域、17%がアフリカで暮らす女性や少女です。貧困家庭に多く、都市部よりも地方で多いとされています。

2. なぜ児童婚をするのか

児童婚は、少女自身で決めることはなく、が決定権を持っています。児童婚だけでなく、娘に有害な慣習を強いる親は、よかれと思って行っている場合も多く、子どものうちに結婚させることで、女性の将来の安寧が約束されると信じています。代々受け継がれている伝統的な慣習に、逆らうことができないと感じている親もいるかもしれません。

3. 児童婚による弊害

多くの場合、児童婚をするとその少女の学校教育はそこで終わってしまいます。結婚すると家事を行い、妊娠・出産をすることになることが多いのです。教育よりも子どもを生み、家族のために生きるということを強いられます。

将来の夢を持ち、勉学に励んでいてもどんなに成績が良かったとしても、結婚が決まると嫁ぎ先では学校に行かせてもらえず、その後教育を受ける機会はほぼないと考えられます。

自分の権利や自立したい思いなどは、表出することも許されない風潮の中で、だんだんと大きな流れにのまれていくのです。そして、知識も自立の技術もないまま、時間が過ぎていきます。

また、妊娠・出産する準備が整っていない身体では、妊娠が原因で母子共に多くの危険があり、家庭内暴力を受けやすくなるリスクもあります。そして、将来への夢や自立は閉ざされてしまうのです。

4. 児童婚をさせる親

児童婚は、ほとんどの国で禁じられています。しかし、なぜ禁止されているのに、児童婚をさせられる少女がこんなにも多いのでしょうか。

親は、娘の将来の生活の糧を確保する手段として、早婚を正当化することがあります。安定した生活を保証してくれる男性のもとで暮らせば、幸せになれると思っている親がいます。また、娘を家族の債務や紛争を解消する手段とみなすこともあるのです。借金の肩代わりに娘を泣く泣く差し出すということもあるようです。

あるいは、娘の安全を守る責任を夫とその家族に負ってもらうことで、娘を性暴力から守ることができると信じている親もいるといいます。しかし、その夫自身が性的暴力の原因になるかもしれないということは、ほとんど考えられていないのが現状です。

5. 児童婚をさせないために

児童婚をさせないための法整備が急務とされています。多くの児童婚が行われている国では、まだ法律がない国もあります。国のリーダーたちは、児童婚による少女たちへの負担を理解し、それが国の損失につながることも知っています。国が法律を作り、児童婚を始め悪しき慣習を規制することによって、コミュニティや地方・宗教指導者などが結束して協力することが大きな力となると考えています。ユニセフなどの国連機関が主導し、行動を起こしています。

まとめ

文化に根ざした慣習をやめさせるのは難しいことです。ユニセフや、いくつかの国では何年も前から取り組みを行っていますが、未だに解決できていません。しかし、児童婚は確実に減ってきています。声をあげる少女や女性も増えてきています。私達は、その声にどう答えるべきか考える必要があるのではないでしょうか。

ハッシュタグ

この記事を書いた人

ツキとナミ運営事務局

この作者の記事一覧

同じカテゴリー の他の記事

  1. もしかして夏バテ?その対策5つと受診のポイント

    夏に起こりがちな体調不良といえば「夏バテ」。暑くてちょっとバテただけ……と簡単に考えがちですが、軽くみたせいで症状の悪化を招いてしまったり、実は別の病気だということに気づかなかったりすることもあります。夏バテの原因や主な症状、食事や衣服の工夫でできる夏バテ対策、夏バテに関わる病気と受診の目安などを、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 夏バテの原因や主な症状 ーーまず、夏バテの原因や主な症状を教えてください。 ”夏バテ”という正式な病気があるわけではないんですけど、夏の暑さによって引き起こされる体調不良を全部ひっくるめて夏バテと呼ぶことが多いです。主な原因は脱水や疲れです。冷房と外気温との落差で体調が悪くなったり、食欲が低下したりというのも夏バテとしてよくあることです。 「もしかして夏バテかも?」と思ったらできること ーー夏バテを予防する方法や、「夏バテかも?」と思った時の対策はありますか?

    もっと読む
    2023年 08月04日
    ##悩み
  2. ムレやニオイ、気になる夏のデリケートゾーン対策

    気温や湿度が高くなる夏は、デリケートゾーンの蒸れが気になる季節です。デリケートゾーンの蒸れは、どんなトラブルにつながるのでしょうか?蒸れの原因やデリケートゾーンを快適に保つ方法、肌荒れした場合の対処法・受診目安について、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 デリケートゾーンの蒸れの原因とトラブル ーーまず、デリケートゾーンの蒸れにはどういった原因がありますか? デリケートゾーンが蒸れる原因はいくつかあります。まず、下着の通気性ですね。ナイロン性になっていたり、ズボンもタイトだと、蒸れやすかったりします。生理中だったらナプキン、生理の前後だとおりものシートが蒸れる原因ですね。長時間座ってたりするのも原因になります。 ーーデリケートゾーンの蒸れから、どういうトラブルが発生しがちでしょうか。 元々、デリケートゾーンは普通の肌よりも弱いので、蒸れたりすると痒みが出やすかったり、おりものが多い時期だとより匂いが気になったりしますね。また、蒸れからかぶれや肌荒れにつながることもよくあります。

    もっと読む
    2023年 07月21日
    #セルフケア
  3. つらい冷え性に!今すぐ始めたい温活ケア【後編】

    近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ 温活ケア① 運動で下半身の筋力をUP ーー前回の記事では、冷えの原因や漢方などの対処法を教えていただきましたが、その他普段の生活の中でできる温活ケアとして何から始めるのがいいでしょうか? まずは運動です。

    もっと読む
    2023年 06月09日
    #セルフケア
  4. つらい冷え性に!今すぐ始めたい温活ケア【前編】

    近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ 冷えは万病のもと ーー冷えの原因を教えてください 冷えにつながる様々な要因がありますが、冷えは男性よりも女性のほうが感じやすく、その主な原因の一つは筋肉量です。男女で筋肉量が異なるため、代謝も異なり、発生する体温も異なりま�

    もっと読む
    2023年 05月26日
    #セルフケア
  5. つらいPMS、どうする?自分でできる改善法

    生理前に体がむくんだりイライラするなど、心身の不調を感じる方は多いのではないでしょうか。そういった症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれています。今回はPMSとその原因や症状、対処法や治療について、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 PMSの原因とは ーーまず、そもそもPMSとは何ですか? 月経前症候群(Premenstrual Syndrome : PMS)は、月経(生理)の起こる3〜10日前に体や心に不調が出て、生理が始まるとそれが自然に治るというのが、PMSの特徴です。ただ、生理の前に何らかの症状が起こるということは、結構多くの女性が経験しています。その症状で生活に支障があったり、仕事や人間関係に悪影響が出て本人が困っているというのが、1つのPMSの目安になると思います。 ーーPMSが起こる原因は何でしょうか? PMSの原因には、いろんな要素が混じっていると今のところは考えられています。なので、「原因はまだはっきりと分かっていません」というのが答えなんです。ただ、よく言われている原因の1つは「女性ホルモンの変化」です。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2�

    もっと読む
    2023年 04月27日
    #PMS
  6. 子どもにプライベートゾーンをどう教える?

    近年、小さなお子さんを持つ保護者が子どもへの性教育について話題にする際、「プライベートゾーン」という言葉が登場することが増えました。プライベートゾーンという言葉をどう理解して、どう子どもに伝えるか。子どもへの性教育について保護者はどんなことを悩んでいるか。子どもと性教育について学ぶためにどんな絵本がオススメか。今回はそんなお話を助産師のやまがたてるえさんに聞きました。 やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ プライべートゾーンとは? ーー近年、幼児や小学校低学年のお子さんへの性教育の場面などで「プライベートゾーン」という言葉が使われることが増えたように思います。この言葉の意味を教えてください

    もっと読む
    2023年 04月22日
    #コミュニケーション
同じカテゴリー の記事をもっと読む
TOP