妊娠したらどうなる?パートナーと知りたい妊娠中の変化

「妊娠中、妻の心身に変化が起きている。どうやらお腹が大きくなるだけではなさそう…」

「つわりって、気持ち悪くなるだけじゃないの…?」

「こんなにつわりが辛いのに、全然わかってくれない…」

女性は妊娠すると、心身共に大きく変化します。精神的に不安定になる人もいれば、ひどいつわりが原因で生活すらままならない人もいます。

しかし、多くの男性は妊婦についての知識は少ないのではないでしょうか。知識が乏しいと、よかれと思ってやったことがかえって迷惑だったり、不用意に相手を傷つけたりすることもあるでしょう。つまり知識不足は、不要なトラブルを引き起こしかねないのです。

本記事では、妊娠した女性に訪れる心身の変化について、なかなか男性が気づきにくい部分も含めてお伝えします。私は現在一児の父ですが、妻が妊娠するまではつわりがどんなものか、妊婦生活がどんなものか、全くわかりませんでした。不用意な言動で何度も喧嘩になり、妻に余計な負担をかけてしまったことを後悔しています。夫婦間のトラブルを避け、妊娠期間中を穏やかに乗り越えるために、妊娠中の女性の心身の変化について夫婦間に事前に勉強しておきましょう。ぜひ私の経験を反面教師にしてくださいね。

トイレが近くなる

まずは、トイレが近くなるという点です。お腹が大きくなると膀胱が圧迫され、頻尿になるケースが多いのです。私は妻が妊娠するまで、この事実を全く知りませんでした。それでは、頻尿がもたらす悪影響について見ていきましょう。

①夜中に何度も起きてしまう

頻尿になると、夜中に何度も目が覚めてしまい、まとまった睡眠時間を取ることが難しくなります。睡眠時間を確保できないとストレスが溜まり、疲労感も増していきます。いつも眠そうにしていたり、だるそうにしていたりしていたとしても、決して咎めたりすることのないように気を付けましょう。頻尿に伴う睡眠不足という明確な原因があるのです。

②仕事や家事に集中できない

頻繁にトイレに行かなければならないということは、頻繁に仕事や作業を中断せざるを得ないということを意味します。どんなに締め切りが近い業務であっても、どんなに厳かな会議であっても、トイレのために立ち上がらなければならないタイミングがあるのです。

このように、作業に集中できない悔しさや会議を途中で抜ける後ろめたさなど、精神的にマイナスな状態にいる妊婦さんは多いです。職場でも、会議の休憩時間をいつもより多めに取るなどの工夫や、妊婦への業務難易度や量をコントロールするなどの配慮が必要です。

妊娠中~後期にはかがむことができない

妊娠中期~後期にお腹が大きくなってくると、妊婦は物理的にかがむことができなくなります。「かがめないこと」で起きる日常の様々な不具合についてお伝えします。

①靴下や靴の着脱が困難になる

まず、靴下や靴を履くのが非常に大変になります。玄関に小さな椅子を置いておく、パートナーが履かせてあげるなどの工夫が必要です。

②足の爪を切ることができなくなる

足の爪も切れなくなります。お腹が大きいと物理的に足先まで手が届かなくなるのです。ただでさえ足元が見えづらいのに足の爪が伸びていると、思わぬケガや事故につながりかねません。私の妻はタンスにひっかけて足の爪を剝がしてしまいました。妊婦一人では難しいので、足の爪はパートナーが切ってあげましょう。

③落ちたものを拾えなくなる

足元にプリントや文房具を落としても、自力で拾うのが非常に難しくなります。もし妊婦さんが職場にいたら、周囲の人に助けを求めやすい環境を作るようにしましょう。

パートナーもこの点は把握しておきましょう。仕事で疲れてゆっくりソファーで休んでいる時に、遠くの寝室にいるママから「鉛筆が落ちたから拾って」という依頼が飛んできます。面倒臭がらず、かつ、いらいらすることのないよう注意しましょう。

④階段昇降が困難かつ危険になる

最も危険なのが、階段含む段差の昇降です。特に妊娠後期は足元が全く見えないため、段差は感覚で昇降せざるを得なくなります。

階段で転んでしまったら母体・胎児ともに命にかかわる大事故になります。なるべくエレベーターやエスカレータを使い、階段昇降を避けるようにするのが得策です。どうしても階段昇降が必要な場合は、誰かに支えてもらうのが良いでしょう。

特定の食べ物しか受け付けなくなる

妊娠中は、味覚や嗅覚にも大きな変化があります。

大好きだった食べ物を受け付けなくなることもあれば、酸っぱいものが無性に欲しくなることもあります。さらに、赤ちゃんのために栄養のあるものを食べたいが、どうしても胃が食べ物を受け付けないときも多々あります。

特定の食べ物しか受け付けない自分に不安や罪悪感を抱いている女性も少なくありません。パートナーは「ちゃんと栄養つけるためにバランスよく食べなきゃだめだよ」等の言葉はかけてはいけません。不安を煽る以外の効果は望めません。

余談ですが、私の妻は妊娠中、マクドナルドのポテトとコンビニのツナマヨおにぎりばかり食べていました。「脂っぽいものは食べられない」と言っていましたが、なぜかマクドナルドのポテトは好んで食べていました。この二品は妊婦あるあるだそうです。不思議ですね。

吐き気が辛い

つわりの症状の1つとして、吐き気があります。人によって個人差はありますが、主に匂いに敏感になり、吐き気が引き起こされます。私の妻は強い光に誘発されて吐き気をもよおすこともありました。

特に煙草の残り香に反応する妊婦さんは多いようです。喫煙習慣のある方は、これを機に禁煙に踏み切るのも一つの手段です。タバコの煙はお腹の中の赤ちゃんにも悪影響なので、ぜひ禁煙をしてください。

まとめ

妊婦の心身の変化と身近な人のサポート方法について、細かな部分までお伝えしてきました。上記以外にも日常生活で困難な場面はあると思います。

決して女性の「わがまま」ではなく、やむを得ずにパートナーを頼っているのです。パートナーは嫌な顔をせず、女性のサポートをしてあげて下さい。

この記事を書いた人

ツキとナミ運営事務局

この作者の記事一覧
お気に入り 4

同じカテゴリー の他の記事

  1. 心地よい人間関係の鍵「バウンダリー」とは

    本当は断りたいことも、嫌とハッキリ言うことができない…。つい他の人の世話を焼いてしまい、嫌がられたり疲れたりしてしまう…。相手のちょっとした言動がいつまでも気になってしまう…。友人や恋人、家族の間でも、このような関係性の難しさを感じたことはありませんか? 「バウンダリー(境界・境界線)」を知ることで、心地よい人間関係のヒントになるかもしれません。今回は、人間関係でお互いに安心して自分らしくいられる「人との安全交流」ための考え方を紹介します。 バウンダリーとは 子どもへの暴力防止をめざす予防教育を行う認定NPO法人CAPセンター・JAPAN(以下、CAPセンター・JAPAN)によると、バウンダリーとは、誰もが持っている「こころ」と「からだ」を守る安心・安全な透明カプセルのようなものだと説明しています。 このバウンダリーという概念を持つことで、人との関係性のあり方を意識することができ、自分の気持ちや言動を調整することにも役立ちます。 たとえば、他の人と話す時、どのくらいの距離感が居心地がよいかは人によって違います。相手に触れられても平気という人もいれば、ちょっと離れていた方が安心する人もいます。また、相手との関係性だけでなく、その時の気分や体調によっても変わることもあります。このようにバウンダリーは、状況や関係性によって柔軟に変わりうるものなのです。 しかし、変わらないことが1つあります。それは、「わたしのバウンダリーはわたしが決める」―つまり、「わたしのからだはわたしのもの。わたしのこころはわたしのもの。わたしのことはわたしが決める」ということです。 まずはわたし自身のバウンダリーを意識し、認め、肯定するところから、お互いのバウンダリーを大切にする「人との交流安全」は�

    もっと読む
    2024年 08月16日
    #コミュニケーション
  2. 子どもと大切にしたい、プライベートゾーンと同意

    「子どもにプライベートゾーンをどう教える? 」では、「プライベートゾーン」という言葉についてや、親子でプライベートゾーンについて話す際に保護者 が知っておきたいことなどを取り上げました。今回はその続編とも言える内容で、子どもに同意を取ることの重要性や、保護者が気を付けたい行動などについて、助産師・保育士・チャイルドファミリーコンサルタントのやまがたてるえさんにお聞きしました。 やまがたてるえ/助産師・保育士・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を157年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】HP: https://www.hahanoki.com/ わが子は自分とは別の人間であり大事な存在 ーープライベートゾーンや同�

    もっと読む
    2024年 08月02日
    #コミュニケーション
  3. 漢方、食養生の始め方・取り入れ方

    「食事を工夫すると健康にいいって聞いたけど、どんなことに気を付ければいいの?すぐできることは何?」という疑問を持っている方もいらっしゃるかもしれません。「食事で体質を改善して健康になる」という考え方に関しては、東洋医学が長い歴史の中で様々な知恵を積み上げてきました。助産師・保育士・チャイルドファミリーコンサルタントのやまがたてるえさんに、「漢方」や「食養生」について教えてもらいました。食事で体質改善して健康になるってどういうこと?どんなことに気を付けて何を食べればいいの?そんな疑問がスッキリします。 やまがたてるえ/助産師・保育士・チャイルドファミリーコンサルタント 病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を17年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】 HP: https://www.hahanoki.com/ 東洋医学が大事にする食事や漢方薬での体質改善

    もっと読む
    2024年 07月19日
    #PMS
  4. 生理前のイライラ、原因と対処法は?

    生理前になると、イライラや感情の乱れに悩む方も多いと思います。今回は生理前のイライラへのさまざまな対処法や、効果が期待できる薬について、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。イライラが他の疾患のサインかもしれない場合や、婦人科受診の重要性についても触れています。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 生理前のイライラの原因と対処法。効果のある薬は? ーー生理前のイライラの原因と対処法について教えていただけますか? 生理前のイライラはPMS(月経前症候群)の症状として多くの女性が経験しています。 その原因の1つとして、生理前に分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響が考えられますね。生理の初めの方もプロゲステロンの分泌が多かったり、月経困難症の症状として生理中にイライラしたり、情緒不安定になったりすることもあります。 まず、日常生活でできることとして、リラックスできるように、スケジュールを緩めて休む時間を意識しましょう。ストレスがPMSを悪化させること�

    もっと読む
    2024年 07月05日
    #PMS
  5. 生理前や生理中の食欲の増加、どうすれば?

    生理前や生理中の食欲の増加に悩む女性は多いものです。今回はその原因や対処法について、産婦人科医の柴田綾子先生に伺いました。ホルモンバランスや栄養不足が関与するこの問題に対して、どのような対処法が有効なのでしょうか。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 生理前や生理中の食欲の増加の原因 ーー生理前や生理中の食欲の増加についてお伺いします。まず、原因を教えていただけますか? 生理前の食欲増加が強い場合は、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性があると思います。その原因としては、生理前に分泌が増える黄体ホルモンであるプロゲステロンの影響が考えられますね。また、月経中の食欲増加も、生理の初めの方やプロゲステロンが多い時期に見られることがあります。 それ以外にも、貧血のような症状が関連している可能性もありますね。出血の量が多いと貧血の症状が出ることがあります。 ーーつまり生理中に食欲が増すのは、ホルモンの変化や貧血による鉄欠乏の影響ということでしょう

    もっと読む
    2024年 06月21日
    #PMS
  6. 生理前・生理中に眠い…眠気の原因と対処法

    生理前や生理中、眠くなって困ることはありませんか?今回は、PMSや月経困難症が眠気の原因となる可能性や、生理前と生理中での眠気の違いについて、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。眠気の対策として、生活面での工夫や漢方薬、低用量ピルの活用のほか、普段の生活の中でできる工夫として、カフェインの摂取や食事についてもアドバイスをいただいています。 産婦人科医 柴田綾子先生 2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。 生理前・生理中の眠気の原因 ーーまず、生理中や生理前の眠気の原因について伺いたいと思います。どんなことが考えられますか? まずは生理前の眠気ですが、PMS、つまり月経前症候群が関係している可能性があります。これにはいくつかの原因がありますが、生理前にはプロゲステロンという黄体ホルモンが増えることが一つの要因ですね。また、生理中の眠気が強い場合は、月経困難症の可能性も考えられます。月経中の眠気に関しては原因がはっきりしておらず、生理の症状が影響しているのかもしれません。

    もっと読む
    2024年 06月07日
    #PMS
同じカテゴリー の記事をもっと読む
TOP