近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。
やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント
病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】
HP: https://www.hahanoki.com/
冷えは万病のもと
ーー冷えの原因を教えてください
冷えにつながる様々な要因がありますが、冷えは男性よりも女性のほうが感じやすく、その主な原因の一つは筋肉量です。男女で筋肉量が異なるため、代謝も異なり、発生する体温も異なります。
年齢も筋肉量に影響します。幼児期に冷えに悩んでいるお子さんはまずいませんが、加齢に伴って悩む人が増えます。これは筋肉量が低下し、基礎代謝が低下するからです。
その他に、
・食生活、生活リズム、ストレスなどによる自律神経の乱れ
・自律神経の乱れの結果の血流の乱れ
も冷えの原因になります。
ちなみに「冷えしょう」という言葉は、東洋医学と西洋医学で理解が異なっています。東洋医学では「冷え症」と書いて治療が必要なものとして認識しています。西洋医学では「冷え性」と書き、冷えを感じやすい体質と捉えられています。
ーー冷えの症状にはどのようなものがありますか?
手足が温まらず眠りが悪い、身体のあちこちが痛む(身体が温まることで改善する)などが挙げられます。また、血流の乱れによって起こる冷えは痛み・こわばり・だるさ・疲れなどの不調を招きます。血液が滞って末梢神経まで届かないことが原因です。
ーー冷えを放置することでどんなことが起こるのでしょうか?
「冷え」自体が東洋医学的な考え方ですが、「冷えは万病のもと」と言われています。その東洋医学の漢方は4000年の歴史の中で「冷え」に対しても向き合ってきました。人間が長い間「冷え」に悩まされてきたことが分かると思います。「冷えを治さないと必ずこの病気になる」というわけではないものの、様々な不調にもつながり、放置するメリットはありません。
また、
寝つけない
↓
慢性的な睡眠不足の持続
↓
お酒を飲んでから寝るなどの悪い習慣が身についてしまう
といった二次的な不具合に派生することも想定できます。
冷えの悩みには持って生まれた体質も関係
ーー冷えに悩む人にはどのような対処法が考えられますか?東洋医学、西洋医学でアプローチは違うのでしょうか?
東洋医学では体質の影響を考慮します。生まれ持った体質が人それぞれ違い、一年中冷え知らずの人もいれば、夏でも冷えに悩む人もいます。持って生まれた体質は人それぞれ違うので、いま冷えに悩んでいたとしても、自分を責める必要はありません。持って生まれた体質を変えるには限界があるので、自分の体質を知りどう対応するかが大切です。
生まれ持った元気さは年齢を経るうちに少しずつ減っていくため、生活の中で補充していくという考え方も東洋医学にはあります。その一番の根源は食事。温まるものや血液を巡らせるものを意識して摂る。次に運動で、筋力をつけることも大切です。
東洋医学のアプローチでは、その人の体質にあった漢方薬を処方したりもします。西洋医学のアプローチでは、冷え自体を病気とはしていませんが、たとえば血流の改善を目的にビタミンEや疲れやすさの改善に鉄分の摂取(鉄欠乏性貧血がある場合)をしたり、カラダのリズムを整える、といったアプローチで薬の処方や生活の指導などを行うことも考えられます。
ーー自分が冷え症なのかをチェックする方法はありますか?
様々な症状がありますが、
・手足の冷えが取れない(夏でも冷たい人も)
・疲れやすい
・ほかの人が寒がらない所で寒がっている
などが代表的な症状です。
また、知っている実例で、
・なかなか寝付けない(お布団に入っても手足が温まりづらい)
・温かい部屋にいても常に手足が冷たい
・お風呂上りに温度差で身体が痛くなる
といったものもあります。
ほかに、漢方薬で有名な製薬メーカーのツムラのサイトに冷え性のタイプと、おすすめの漢方がセルフチェックできるページがあるので参考にしてみてください。
冷え症チェック! わたしはどのタイプ?(株式会社ツムラのサイトに飛びます)
https://www.tsumura.co.jp/kampo/hiekaizen/index.html
いかがでしたか?後半の記事では、具体的な温活ケアの方法について、取り上げます。
取材・執筆
柳田正芳 from 性の健康イニシアチブ/6483works
「誰もが自分は自分に生まれてよかったと思える世界」を作るために「どこに行っても性の健康を享受できるように社会環境をアップデートすること」を目指す性の健康イニシアチブの代表。2002年から国内外の性教育、性科学の様々な活動に参加してきたほか、思春期保健や両親学級などの活動も経て現在に至る。また、編集/校正業、執筆業、Webメディアディレクション業などを業とするライティングオフィス・6483worksの代表としても活動。インタビュー記事の制作を得意とする。
HP:https://masayoshiyanagida.tokyo/profile