近年、「温活」という言葉も登場し、冷えの悩みが注目されています。季節を問わず、手足や腰の冷えや、冷えからくる不眠や体のこり、だるさに悩まされているという人もいるのではないでしょうか。でも、冷えについて知れば良い対処法が分かるかも?今回は前半では冷えの原因や症状、漢方などの対処法、後半では、温活ケアの具体的な方法をやまがたてるえさんにお聞きしました。
やまがたてるえ/助産師・チャイルドファミリーコンサルタント
病院勤務後、自身の妊娠出産子育てを経て、地域子育て支援の活動を15年行なっている。たくさんの親子の子育て相談や、女性ためのカウンセリングなども行っています。子育て支援を、家族支援へとシフトチェンジしたくNPO法人子育て学協会のチャイルドファミリーコンサルタントとしても活動中。現在まで6冊の本を出版。近著は【13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと】
HP: https://www.hahanoki.com/
温活ケア① 運動で下半身の筋力をUP
ーー前回の記事では、冷えの原因や漢方などの対処法を教えていただきましたが、その他普段の生活の中でできる温活ケアとして何から始めるのがいいでしょうか?
まずは運動です。
運動をすると血の巡りがよくなるというだけではなく、運動して筋肉量がついてくると基礎代謝が上がり、熱を保持しやすい身体・熱がめぐりやすい身体になります。
とはいっても、激しい運動ではなく、散歩する、エスカレーターではなく階段を使うなど、日常の中で無理なくできることでかまいません。 下半身に筋肉の70%があるので、歩く、まめに掃除をする、スクワットをする、ヨガをするなど、下半身を使う運動ができるといいです。
今はYouTubeにも「3分一緒にやりましょう」という短いエクササイズ動画が色々あるので、そういったものを観ながら少しずつ運動するのがオススメです。
ポイント
・下半身を使う運動をする
・下半身には全身の筋肉の70%があるから
・筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、冷えの体質が改善に向かう
温活ケア② 温かい食べ物・飲み物を心がける
ーー食事でできることはありますか?
食べるもの・飲み物を温かいものを摂るように意識するとよいでしょう。
たとえば、アイスクリームのような10℃以下の冷たいものを食べた後には温かいものを飲む、氷の入ったキンキンに冷たい水ではなく常温の水を飲むなど、飲むものだけでも冷えたものを控えるように日々心がけます。
飲むものの種類を変えなくても、お店で飲み物を頼む時に「氷抜きで」と頼む、冷蔵庫の外に置いて保存する、水道水くらいの温度の飲み物を飲む、というくらいでもだいぶ違います。
ポイント
・食べ物や飲み物を温かいものを摂るように心がける
・飲み物は常温のものなど、冷えたものは控えるようにする
温活ケア③ 締め付けない保温アイテムを活用
ーーその他毎日の生活で取り入れられる温活ケアはありますか?
身に着けるものです。
「熱を出している時は脇の下を冷やすといい」という話を聞いたことはありませんか?あれは、脇の下に太い血管が通っているからです。太い血管を通っている血液が冷やされ、それが体内に行き届いて熱を冷ましてくれます。身体が冷えて寒い時はそこを温めればいいということになります。
同じ発想で、血管の通っている手首・足首・首周りを覆うようなものを身に付けます。足首が隠れるくらいの丈の靴下とか。
腹巻のような巻いて使うものは、身に着けて気持ちがいいもの、締め付けないものを選びます。締め付けると血流が滞り手足が冷たくなります。締め付けることで身体が緊張して自律神経が交感神経優位になるため、逆に血流が悪くなる原因になってしまうことも。
暑い季節でも、屋内に入った時に冷房で寒ければ、レックウォーマーやアームウォーマーを鞄の中に入れておいて適宜使うようにするといいです。私自身もストールを鞄に入れておいて、夏の屋内で寒ければ巻くようにしています。
なお、カイロはダイレクトに温かいですが、やけどや熱が高すぎることが心配です。すごく冷えている時は使ったほうがいいと思いますが、そこまででもない時には身に着けるものを工夫することで対応したほうがいいでしょう。使い分けることが大事ですね。カイロは冷えている時に「加温」するものですが、オススメは手袋や靴下、腹巻きやストールなどで「保温」することです。
ポイント
・太い血管の通っている部位を冷やさずに保温できるものを身に着ける
・締め付けずゆったりフワッと身に着けられるものを選ぶ
・加温するカイロと、身に着けて保温するものをうまく使い分ける
ご機嫌でいられることが大事
ーー最後に読者の方へのメッセージをお願いします
「冷えを治すためにがんばらなきゃ!」と思うと、交感神経が働きすぎてしまいます。できなかったらガッカリ落ち込んで、気力が下がってしまいます。温活ケアは眉間に皺を寄せながらやることではなく、ご機嫌でいられることが大切です。
そのためには心地よさが必要です。暑い日に冷たいものを飲むことも足首を出すこともしたいのにガマンするより、他のできることで補うという考え方もできるのではないでしょうか。「心地よいなぁ」と感じている時は副交感神経が優位になってリラックスしている時で、血管が開いて手足が温かくなります。無理をしないことが大事です。
取材・執筆
柳田正芳 from 性の健康イニシアチブ/6483works
「誰もが自分は自分に生まれてよかったと思える世界」を作るために「どこに行っても性の健康を享受できるように社会環境をアップデートすること」を目指す性の健康イニシアチブの代表。2002年から国内外の性教育、性科学の様々な活動に参加してきたほか、思春期保健や両親学級などの活動も経て現在に至る。また、編集/校正業、執筆業、Webメディアディレクション業などを業とするライティングオフィス・6483worksの代表としても活動。インタビュー記事の制作を得意とする。
HP:https://masayoshiyanagida.tokyo/profile