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もしかして夏バテ?その対策5つと受診のポイント

夏に起こりがちな体調不良といえば「夏バテ」。
暑くてちょっとバテただけ……と簡単に考えがちですが、軽くみたせいで症状の悪化を招いてしまったり、実は別の病気だということに気づかなかったりすることもあります。
夏バテの原因や主な症状、食事や衣服の工夫でできる夏バテ対策、夏バテに関わる病気と受診の目安などを、産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。


産婦人科医 柴田綾子先生

2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信をおこなっている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。

夏バテの原因や主な症状

ーーまず、夏バテの原因や主な症状を教えてください。

”夏バテ”という正式な病気があるわけではないんですけど、夏の暑さによって引き起こされる体調不良を全部ひっくるめて夏バテと呼ぶことが多いです。
主な原因は脱水や疲れです。冷房と外気温との落差で体調が悪くなったり、食欲が低下したりというのも夏バテとしてよくあることです。

「もしかして夏バテかも?」と思ったらできること

ーー夏バテを予防する方法や、「夏バテかも?」と思った時の対策はありますか?

1:衣服はゆったり目のものを重ね着して

まず、夏は電車や建物の中はすごく涼しいけど外に出るとすごく暑い、みたいに温度の変化が激しかったりするので、カーディガンやストールなどを1枚鞄に入れておいて、必要な時に重ね着できるような感じで服をコーディネートするといいですね。特に涼しすぎたりすると、体調が崩れることがあります。

また、胸周りやウエストを締め付けない服の方がいいです。締め付けが強いと気分悪くなったりするので、ゆったり目のものがいいでしょう。

2:吸水性・通気性のよいコットン、ナイロン素材の衣服がおすすめ

衣服の素材としては、綿やナイロンなど、汗を吸収しやすい素材がいいですね。スポーツや登山をする人が着てる服の素材で、ゴアテックスという通気性がいいものもあります。
ただ、人によっては、ナイロン性やゴアテックスだと、肌荒れや痒みや汗疹が出ることもあります。肌が敏感な方は、コットン素材や、着ていて過ごしやすいものがおすすめです。

3:こまめな水分補給とミネラル・ビタミン摂取も意識を

そして、こまめに水分を摂ることを意識してほしいです。意外と汗で水分が体から出てるので、水分は1日に2リットルは意識して摂ってほしいのと、外にいるのであれば、最低でも30分にコップ1杯は意識して水を飲みましょう。特に日に当たってるからこそ、汗が乾いて飛んでしまい、気がつかないことがあるので、注意していただきたいです。

また、水だけを飲んでいると、ミネラルが汗と一緒に体から出て不足しがちになるので、水分の摂取にはスポーツドリンクや経口補水液もおすすめです。お茶や水をメインで飲んでる方であれば、意識してビタミンを食べ物から摂った方がいいでしょう。

4:食事やサプリでビタミンB1と鉄分+ビタミンCの補給を

ビタミンB1は疲れやすさに効くので、意識して摂っていただくとよいと思います。豚肉や卵に含まれたりしてますね。

夏に限って多いわけではありませんが、女性の場合は、生理で貧血になると疲れやすかったりもするので、鉄分も意識して摂ってほしいと思います。鉄分の摂取はレバーやお肉に多く含まれています。鉄分と一緒にビタミンCも摂ってもらうのもおすすめです。ビタミンCは、キウイやグレープフルーツといった柑橘系のものやモロヘイヤなどの夏野菜にも含まれています。

食欲が下がっていて食事で摂るのが難しかったら、ビタミンのサプリメントがいいと思います。こういった栄養素は食事でもサプリでも、摂れるところから摂っていただくので大丈夫です。

5:湿度にも注意、エアコンは寝ている間も使用を

エアコンつけるとお金がかかるから、暑いお部屋で頑張りすぎる方もいらっしゃるんですけど、そうすると熱中症につながることもあるので、エアコンは寝ている間や夜も使うことが大切です。冷えすぎも体調を悪くしたり、湿度が高いのもしんどくなりやすかったりするので、温度は下げず、除湿するだけでも楽になると思います。特に家の中の湿度が高い時は、扇風機よりエアコンの方が効果は高いです。

夏バテがきっかけで起こりやすくなる病気

ーー夏バテの時にかかりやすくなる病気はありますか?

夏バテだと思っていたら熱中症や脱水になっていたということはあります。意識が遠のくとか頭痛吐き気がする時はすぐに病院の受診を。
また、女性は貧血や更年期障害でしんどいのを夏バテと思ってしまうこともあります。夏バテだったら、1日から2日しっかり休めば良くなるのですが、良くならないのであれば、一旦病院の受診をしてもいいと思います。

ーー夏バテかと思ったのに治らない時は、病院の何科を受診すればいいでしょうか。

頭痛や吐き気があるなど、症状が強いようだったら、熱中症や脱水症を疑ってまずは救急センターや救急外来が1番いいと思います。
そこまでではないということであれば、一旦はお近くの内科の外来で見てもらうのがいいですね。検査をした方がいいのかどうかを含めて相談してみましょう。

ーー実は別の病気が隠れていることもありますか?

本人が夏バテかなと思っても、実際にはうつ病や感染症が隠れてることはあります。うつ病の場合は、食欲だけじゃなくて他の気力もなくなったりするので、寝られないとか、他のことにも関心がなくなっちゃうとか、気分の低下症状が続きます。
感染症の場合は、が上がってきたり、咳や鼻水が出ることが多いです。夏バテで熱が上がることはないので、熱が出てくる時は、脱水症や熱中症、感染症の可能性も考えてみてください。


夏バテの原因や症状、生活習慣の工夫でできる夏バテ対策、夏バテと病気の関係などについて、柴田綾子先生に教えていただきました。特に熱中症の症状がみられる時は、我慢せずに病院を受診することが大切です。
食事や衣服、エアコンの適切な使用などの対応にも気をつけて、夏バテ知らずの元気な夏を過ごしましょう!

〇ライタープロフィール
きのコ
東京を中心に多拠点生活する文筆家・編集者。すべての関係者の合意のもとで複数のパートナーと同時に交際する「ポリアモリー」として、恋愛やセックス、パートナーシップ、コミュニケーション等をテーマに発信している。不妊治療の経験や、子宮筋腫による月経困難症をきっかけに、女性の身体のことに興味をもつようになった。子無しでバツイチ。著書に『わたし、恋人が2人います。〜ポリアモリーという生き方〜』。

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