「デリケートゾーンケア」というとどんなことを思い浮かべるでしょうか?昨今は女性の健康とウェルネスを支える技術「フェムテック」も盛り上がり、色々なケアアイテムが販売されています。ラブライフアドバイザーのOliviAさんに、主なケアアイテムとその特徴や使い方、ケアすることのメリットなどを教えてもらいました。デリケートゾーンのケアアイテムを賢く使って、マイナートラブルにさよならしましょう。
監修・話題提供
OliviA(オリビア )/ラブライフアドバイザー
大学時代からセクシュアリティの調査を始め、2007年より女性・カップルに性生活の総合アドバイスを行う。日本と台湾で著書出版。日本の性の専門家として「VOGUE JAPAN」でも紹介される。フェムテック・セクシュアルウェルネス・セクシュアルプレジャーが専門分野。近著「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)他。日本性科学会会員。
デリケートゾーンケアでマイナートラブルを解消
ーーOliviAさんが考えるデリケートゾーンをケアすることのメリットは何でしょうか?
デリケートゾーンケア、つまり外陰部のケアを通して、デリケートゾーン周りのマイナートラブルが解消されるのでQOLが上がることです。マイナートラブルがなくなって、日々を過ごしやすくなります。代表的なマイナートラブルとして、デリケートゾーンのにおい、かゆみ、おりもの、アンダーヘアに関することが挙げられます。
例えば、女性はどういう時ににおいが気になっているかというと、「トイレに行ってショーツを脱ぎ着するたびに気になる」という方が多いんです。
また、かゆみは1日中ついて回ります。かゆみはリラックスしている時に特に出やすいので、寝る前にかゆみに襲われたりする方もいます。デリケートゾーンをケアすることで、そういった普段の不快感が無くなるので過ごしやすくなりますね。
デリケートゾーンのケアアイテム①ソープ
ーーここから、具体的なケアアイテムについてお聞きしていきたいのですが、まずデリケートゾーン用のソープについて教えてください
デリケートゾーン用と謳っているソープは、酸性・アルカリ性を決めるpH値を腟内もしくは外陰部向けに調整しているので、沁みにくいといわれています。通常のボディソープはアルカリ性のものが多く、粘膜にふれると沁みる方もいます。デリケートゾーンのソープを使うことで、肌に優しく洗浄することができます。
ソープは、リキッドタイプ、泡(フォーム)タイプ、界面活性剤が入っていないオイルで洗うもの、ジェル状 のものと、4種類に大別されます。
リキッドタイプは、自分の手やスポンジなどで泡立ててから使うのは他のタイプと一緒です。沁みにくく、弱酸性に調整されていて、デリケートゾーンの肌質に合わせて作られています。
フォーム状の泡で洗うタイプは、ワンプッシュしたら泡状で出てくるのでソープを泡立てる必要がなく便利です。気軽に毎日のケアに取り入れられます。肌に負担が少なく、マイルドに洗えます。肌と手の間に泡が入り摩擦せず優しく洗えて、乾燥している方、かゆみのある方、ただれている方にも優しいです。
オイルで保湿しながら洗うタイプは、乾燥しやすい方や界面活性剤が気になる方に向いています。
ジェル状のものはリキッドと同じく泡立てて使います。デリケートゾーンを洗う時には熱いお湯だと乾燥の原因になるのでぬるま湯で洗うのが理想です。
デリケートゾーンのケアアイテム②保湿剤
ーー特に更年期を迎えた女性の中には、デリケートゾーンの乾燥やかゆみなどの悩みを抱えている方が少なくありません。保湿剤はどうでしょうか?
ソープを変えるだけでもデリケートゾーンのにおいの軽減が期待できますが、乾燥してかゆみのある方は保湿剤も使うといいと思います。
乾燥が気になる方は、洗って終わりではなく保湿することで、さらにケアができて不快感が減ります。
保湿剤も、オイルタイプ、クリームタイプ、化粧水タイプ、美容液タイプなど、様々な種類があり、好みの質感を選ぶことができます。
寝る前にシャワーを浴びる時にソープを使い、シャワー上がりに保湿剤をつけて就寝するというのがいいと思います。
デリケートゾーンのケアアイテム③潤滑剤
ーー デリケートゾーンの乾燥が気になる方に、他におすすめのアイテムはありますか?
潤滑剤もおすすめで、潤滑剤には色々な活用方法があります。まず、性交痛の予防で性行為の時に使うという使い方があります。
また、生理用品として月経カップを使う場合に、月経カップが入りやすいように潤滑剤をカップに塗布する、セックストイや腟トレアイテムを使う時にアイテムに付けて滑りを良くする、といった場面でも使いますね。
潤滑剤は腟の中に入っても大丈夫なように想定しているものです。よく似た製品にアダルトローションがあります。アダルトローションはボディの表面に塗ってプレイを楽しむためのもので、潤滑剤と作り方が明確に異なっています。
潤滑剤は英語ではルブリカントとも言いますが、腟の粘膜に使えるように調合されています。粘性の高いアダルトローションとは別物です。アダルトローションを腟内に使ってしまうと、かゆみやおりものが増える原因にもなってしまいます。
ーー潤滑剤は腟やデリケートゾーンにも使える、アダルトローションは皮膚の表面に塗って楽しむ、という区別があるのですね。アダルトローションを腟やデリケートゾーンに使うとかゆみやおりものの心配もあるということですが、潤滑剤を買いに行った時に、アダルトローションと見分ける方法はありますか?
簡単な見分け方としては、「潤滑ゼリー」など「潤滑○○」と書いてあるのが潤滑剤です。また、各商品のサイトを見ても分かると思いますので、慎重を期したい方は商品のサイトにもアクセスしてみるといいかもしれません。
その他のデリケートゾーンのケアアイテム
ーーその他にもケアアイテムはありますか?
デリケートゾーンはアンダーヘアの有無でケアの快適度が変わってきます。
例えば、「保湿」といっても、アンダーヘアがナチュラルなままの人は保湿剤がヘアについてしまって肌につかなかったりします。完全な脱毛をしなくても、アンダーヘアを短くするだけでも蒸れやにおいの軽減になります。そしてアンダーヘアを短くするためのヒートカッターがあります。それを使うだけで快適さが変わります。
また、ワイプというデリケートゾーン用の使い捨てのウェットティッシュもあります。月経中などに外出先でも気になる時に使用できるので、活用すると快適に過ごせると思います。
「美白」と「におい」のケアに焦点を当てた商品が人気
――デリケートゾーンのケアグッズで、最近注目が集まっているものはどういったものでしょうか?
例えば保湿剤でニーズがあるのは「ホワイトニング」効果のあるものですね。外陰部の色素沈着が気になっている人が多いので、ホワイトニング系のクリームが人気です。
それから、ソープだと消臭効果のあるもの。においを気にしている人も同じく多いんです。「美白」と「におい」は、ケアをする効果を実感しやすいというのも人気の秘訣だと思います。
デリケートゾーンケアを心がけて性生活も積極的に
デリケートゾーンを快適な状態にしておくと、性生活においても自由に振舞う積極性が出てくると思います。「におってないかな」といった心配が頭に浮かぶと積極的になれないこともありますが、普段からケアをしていけばそういった心配から解放されます。
ケアの一環として外陰部のセルフチェックも大事です。痛い、かゆい、腫れたといった異常が起こった場合にも、普段の状態を見て把握できていないと、普段とどう違うのか分からないですよね。乾燥しているのかなども普段から見てみないと分かりづらいですし、色素沈着も、人とは比べないとしても、自分の状態を普段から確認しておくことは役立つはず。セルフチェックとして普段から手鏡で自分の性器を見ておくことをおすすめします。
取材・執筆
柳田正芳 from 性の健康イニシアチブ/6483works
日本で日本語で「性科学」「性の健康」の普及を目指す性の健康イニシアチブの立上げ人/代表。また、編集/校正業、執筆業、Webメディアディレクション業などを業とするライティングオフィス・6483worksの代表。
https://masayoshiyanagida.tokyo/profile