前回は、リプロダクティブヘルス/ライツについてお話しました。
(「リプロダクティブヘルス/ライツ」って何だろう?)
今回は、セクシュアルヘルス/ライツについて紹介します。似た概念ですが、それぞれに共通することがあり、現在ではセクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツと一つの言葉で表現されることが多いです。
セクシュアルヘルス/ライツとは何?
「セクシュアルヘルス」は、自分の「性」について心身ともに満たされた状態で、幸せを感じられ、その状態が社会的に認められていることです。「セクシュアルライツ」は、セクシュアリティ「性」について自分で決められる権利のことです。もう少しわかりやすく説明すると、自分が愛する人、自分のプライバシー、自分の性的な快楽、自分の性の在り方(自分は男である・女である・どちらでもない)について自分で決められる権利です。
セクシュアルヘルス/ライツに含まれること
セクシュアルヘルス/ライツにはどのようなことが含まれるかを紹介します。
①LGBTQIA+とは
「セクシュアルヘルスライツ」は、男女共に持つ権利です。この概念には、性のマイノリティを表す「LGBT」も含まれています。現在では、「L:レズビアン」「G:ゲイ」「B:バイセクシュアル」「T:トランスジェンダー」だけでは表せないということで、「LGBTQ」「LGBTQIA+」という言葉も出てきています。
「Q」は「クエスチョニングまたはクィア」と呼び、性別を決めていなかったり模索中だったりする場合の他、セクシュアルマイノリティの総称として使用されています。「I:インターセックス」は、身体構造が一般に定められた男性・女性のどちらも一致しない状態です。「A:アセクシュアル」は、誰に対しても恋愛感情と性的欲求を抱かない人です。その他たくさんのタイプがあるということから「+」をつけて「LGBTQIA+」という言葉が使用されることがあります。
②強制されない
「セクシュアルヘルス/ライツ」は、HIV/エイズなどの性感染症も含まれています。性行動を取るかどうか、性行動を取るならいつ、誰と、といったことも同様です。現代では、自分の性について強制されることなく、その性を満たされた状態で生きていける社会を目指すということが叫ばれています。人が存在する根源ともいえる概念ですね。
これまでこのシリーズでお話してきた女性器切除や児童婚などもこのセクシュアルヘルスライツに含まれます。自分のパートナーを自分で決め、性生活をするかしないかということから、どのようにそれを楽しむか、性感染症や望まない妊娠の予防、生殖器に関する病気や治療を受ける権利も重要なポイントです。
③開発途上国では
欧米をはじめ日本でもセクシュアルヘルス/ライツについて語られることが多くなってきました。しかし、開発途上国ではまだ情報が限られており、周囲への理解を求めるところまできていないということが現状です。そのため、苦しい思いをしている人が多いでしょう。
特に女性や女の子は、自分の意としない女性器切除が強制的に行われ、パートナーを選ぶ自由や結婚する時期を自分で決められないという理不尽な環境であることも少なくありません。それは、宗教の名の下に習慣的に行われていることもあり、周囲の者も本人も声をあげることが難しいのです。
まとめ
2回にわたって、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツについてお話してきました。人のあり方が様々な形で求められる時代となっています。生まれ持った性のまま生きている人もそうでない人も、性的に健康で豊かであるためにどのようにしていけばよいか、一人ひとりが考えていくことから始めてみましょう。