もしもの時のおまもりに「緊急避妊薬」ってどんな薬?

2023年11月28日から、一部薬局での試験的販売が始まった緊急避妊薬。

緊急避妊薬は、「アフターピル」「モーニングアフターピル」とも言われ、不十分だった避妊や性暴力被害から72時間以内にできるだけ早く服用することで、高い確率で妊娠を防ぐことができる薬です。

どんな薬なのか、また、もしも緊急避妊薬が必要な状況に自分や子どもがなったとしたら、どのような選択肢があるのか、服用の際に知っておきたいことを解説します。

緊急避妊薬はタイムリミットがある薬

緊急避妊薬は妊娠の心配がある性行為から早く服用するほど効果的な薬です。

緊急避妊薬の妊娠阻止率は性交から24時間以内で95%、48時間以内で85%、72時間以内で58%となっています。この妊娠阻止率は、月経周期における妊娠のしやすさの変動も考慮された数値で、緊急避妊薬「レボノルゲストレル」を性交から72時間以内に服用した時の妊娠率(実際に妊娠する確率)は1.34%と言われています。

だからこそ、緊急避妊薬は必要になった時にいち早く飲めることが大切な薬です。世界約90カ国では、薬局で処方箋なしに買える薬になっています。

副作用は? どうやって避妊成功を確認できる?

緊急避妊薬の副作用として、一時的に気持ち悪くなったり、頭痛が起こったりすることもありますが、長く続く副作用や、もし繰り返し服用したとしても将来の妊娠しやすさに影響するような副作用はありません。思春期の10代の人にも安全に使える薬です。

緊急避妊薬を服用した後で、月経のようなまとまった腟からの出血(消退出血)があるのが避妊成功のサインとなります。

消退出血は、次の月経よりも早く起こることも遅く起こることもありますが、多くの場合緊急避妊薬を服用してから3週間以内に起こります。もし薬の服用から3週間経っても出血がない場合や、出血が少量だった場合は、薬局などでも市販される妊娠検査薬で検査をしたり、婦人科・産婦人科を受診したりして妊娠を確認することができます。

入手方法や使い方について、下記の動画でも確認ができます。

緊急避妊薬を薬局でプロジェクト「もしものおまもり 緊急避妊薬ガイド」より

緊急避妊薬はどうやって入手できる?

2023年現在、国内で認可されている緊急避妊薬は医師の診療と処方箋が必要で、価格は6000円~2万円ほどかかります。産婦人科・婦人科の他に、内科などのクリニックや救急外来でも取り扱いがあることがあります。更に、年末年始や連休などは、更に休日料金を加算されることもあります。また、オンライン診療による処方で入手することできます。

そして、2023年11月末から2024年3月まで、一部薬局での緊急避妊薬の試験的販売が始まりましたが、対応可能な薬局は全国で145店舗(各都道府県で2~6箇所程度)と限られています。調査に協力する場合に限り、7000円~9000円ほどで購入が可能です。試験的運用の詳細や取り扱い薬局一覧は、以下の日本薬剤師会の専用サイトをご覧ください。
※調査内容を確認し、4つのチェックボックスにチェックを入れ「確認しました」をクリックすると、取り扱い薬局を確認することができます。
日本薬剤師会 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業サイト

緊急避妊薬一部薬局で試験販売information(日本薬剤師会)サイト トップページより

なお、今回の薬局での試験的販売は、調査目的で実施されるため、15歳以下の人は対象外となり、16~17歳の人は保護者の同伴と同意が必要となります。

また、インターネット通販で国内では未承認の海外製の緊急避妊薬を個人輸入で入手できるサイトもありますが、安全性や薬の成分の真偽を確認するのが難しく、健康被害のリスクを伴うこともあるため、そのような入手方法はおすすめできません。

緊急避妊薬を服用する上で気を付けることは?

緊急避妊薬は、排卵を遅らせるなどの作用により妊娠を避ける方法なので、全ての妊娠を防げるというわけではありません。もし服用して2時間以内に吐いてしまった場合は、飲み直しが必要です。

また、服用した後には妊娠しやすい状況となるため、月経がくるまで性行為を控えるか、コンドーム等の他の避妊法を使うようにしましょう。緊急避妊薬は普段の避妊法には向かないので、コンドームや低用量ピル、IUSなど普段の避妊法についても考えることも大切です。

また、緊急避妊薬では性感染症を防げません。性感染症のなかには自覚症状の少ない病気もあるため、保健所や病院での定期的な検査がすすめられます。

もしも、性暴力の被害にあった場合は、ワンストップ支援センター(電話番号#8891)や、警察(電話番号#8103)に相談すると、費用が無料になる等、様々な支援が受けられます。

もし子どもが緊急避妊が必要な状況になったら?

そして、もし子どもが緊急避妊を必要な状況になった時は、どうしたらいいでしょうか。

保護者は、まず頭ごなしに怒ったりせずにその状況を受け止め、打ち明けた勇気を認め、いち早く緊急避妊薬にアクセスできるようサポートすることができます。緊急避妊薬が必要となる背景として、避妊の失敗が最も要因として多いと言われていますが、中には性被害や、デートDV(恋人間で起こる暴力)の可能性もあります。緊急避妊薬の服用後、これからの避妊やパートナーシップについてじっくり考える機会につなげていくことが必要ではないでしょうか。

いかがでしたか? 妊娠は人生を左右するとても大きな問題。緊急避妊薬や避妊について知ること、そしてもしもの時に入手できることは、妊娠する人の健康や人生を守ることにつながります。

筆者が代表を務めるNPO法人ピルコンや、共同代表を務める「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」では、緊急避妊薬のアクセス改善を求めるキャンペーンの他、緊急避妊薬に関する情報発信をしています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

ピルコン 緊急避妊薬・アフターピル

緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(通称:#緊急避妊薬を薬局で プロジェクト)

※本記事の内容は2023年12月現在の情報です。

執筆

染矢明日香

NPO法人ピルコン理事長。これからの世代が自分らしく生き、豊かな人間関係を築ける社会の実現を目指し、若者と共に中高生向け、保護者向けの性教育講演や情報発信、性教育教材の開発・普及、政策提言等を行う。公認心理師、公衆衛生学修士、思春期保健相談士、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。著書に『マンガでわかる オトコの子の「性」』、『はじめてまなぶ こころ・からだ・性のだいじ ここからかるた』。

この記事を書いた人

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