不妊治療、いつから始める?どんな種類がある?

2022年の4月から不妊治療が保険適用になったことで、不妊治療を受ける夫婦が増えてきています。不妊治療にはさまざまな種類の方法があり、どう選んでいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は不妊治療について、始めるタイミング、治療の選択肢などを産婦人科医の柴田綾子先生にお聞きしました。


産婦人科医 柴田綾子先生

2011年医学部卒業。妊婦健診や婦人科外来のかたわら女性の健康に関する情報発信を行っている。著書に『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)など。

不妊治療を始めるタイミング

ーー不妊治療を始めるタイミングはいつですか?

まず「不妊」の定義なんですが、日本では、パートナーと性行為のタイミングを合わせたりして自分たちで1年間妊活しても妊娠できない状態のことをいいます。ただし、年齢によっても不妊治療を始めるのにオススメなタイミングは変わってきます。女性が30歳未満であれば、まずは1年間妊活してみて、それでも妊娠しないということであればクリニックを受診するのが一般的だと思います。

しかし女性が30歳を超えると、1年待っている間に妊娠率がどんどん下がってきてしまうので、6カ月ぐらい自分たちで妊活して妊娠しなかったら、不妊治療専門の病院を受診していただくのがオススメです。もしも40歳で妊活を始めるのであれば、すぐに専門の病院に行って不妊治療を始めたほうがよいと思います。これはあくまで一般的な目安であり、より早くに不妊治療や検査を受けても全く問題ありません。

不妊の検査

ーー治療を始める前の検査について教えてください。

女性の方の不妊の検査にはいろいろあるんですが、エコーで卵巣や子宮内膜の状態を見たり、生理痛がひどい方だと子宮筋腫とか子宮内膜症があって不妊症の原因になっていないかを見たりします。あとは女性ホルモンの採血をして、排卵がちゃんとうまくできているかなどを見ます。

また、不妊症の原因の半分近くが男性にも原因があると言われています。保険適用で不妊治療をするときには、パートナーも受診をしていただくのが条件になっています。 男性の精子もしっかり調べないといけないので、不妊治療の検査は基本的に男性にも一緒に受けていただいていますね。

ーー1回目の受診時にまず検査して、検査の結果が出てから不妊治療を始めるという流れでしょうか?

検査にはいくつか種類があり、何度か来院いただいてから不妊治療を始めるところが多いと思います。女性ホルモンの状態や排卵の状態を見たいということで、基礎体温をつけてくることをすすめているところもあります。不妊治療を検討する場合、第1回目の受診のタイミングやその後の流れはクリニックによって違うので、受診したいクリニックに事前に確認しておくといいと思います。

不妊治療をおこなっているクリニックはウェブサイトが充実していることが多いので、ウェブサイトを見て分からなかったら電話で相談したり、まず予約を取った方がいいかもしれないですね。

不妊治療の選択肢

ーー不妊治療の選択肢、ステップを教えてください。

厚生労働者のウェブサイトでは、2022年の4月からの不妊治療の保険適用について解説しています。

まず一般不妊治療というのが最初に始める治療です。タイミング法といって、妊娠しやすいタイミングに合わせて性行為をおこなうものです。その次のステップが人工授精となります。妊娠しやすい時期に精子をとって、子宮にスポイト等で入れる方法です。

次のステップは体外受精や顕微授精になります。体外受精は、卵巣から卵子を採取してシャーレの中で受精させて、受精卵になったのを確認して子宮の中に戻します。顕微授精は、細いガラス針の先端に1個の精子を入れて、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する方法になります。

主な治療法内容
タイミング法妊娠しやすいタイミングを指導する
人工授精妊娠しやすい時期に子宮内に精子を注入する
体外受精卵巣から採取した卵子を体外で精子と受精させ、受精卵を子宮に戻し着床を促す
顕微授精細いガラス針の先端に1個の精子を入れて、卵子に顕微鏡で確認しながら直接注入する

ーー不妊治療の金額感はどのくらいになるのでしょうか?

不妊治療にかかる費用ですが、保険適用になるかどうかで全然違います。治療開始の時点で女性の年齢が43歳未満であれば保険適用になりますが、43歳を超えている方は全額自費になります。

また40歳未満の方の場合は1人の子を産む際の治療が6回まで保険適用になりますが、40歳から43歳の方の場合は3回までです。

体外受精となると、人工授精をする前に卵子が育つように薬をどれぐらい使うかとか、採卵した後にどういう培養液を使うかとか、何個胚を取って凍結するかなどで全然値段は変わります。一般的な費用感としては、体外受精だと保険適用にならなければ1回50万円から70万円くらいなんですが、保険適用でその3割の価格で治療が受けられるようになっています。

一方で、どの不妊治療の技術を保険適用にするかについてさまざまな議論があり、今回は保険適用にならなかった技術もあります。海外ではやっているけど日本ではまだ認められていない不妊治療の選択肢もありますね。日本での不妊治療をどのようにしていくか、今後も議論があるのではと思います。


いかがでしたか?保険適用が始まって不妊治療へのハードルが下がった一方で、どのような選択肢があるのか、どのように始めるのか、参考にしてみてくださいね。次回は、不妊治療の今後の見通しや課題について取り上げます。

〇ライタープロフィール

きのコ

群馬を中心に多拠点生活をする文筆家・編集者。すべての関係者の合意のもとで複数のパートナーと同時に交際する「ポリアモリー」として、恋愛やセックス、パートナーシップ、コミュニケーション等をテーマに発信している。不妊治療や子宮筋腫による月経困難症をきっかけに、女性の身体のことに興味をもつようになった。子無しでバツイチ。著書に『わたし、恋人が2人います。〜ポリアモリーという生き方〜』。

この記事を書いた人

ツキとナミ運営事務局

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